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社会保険労務士宮本事務所
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このページでは建設業の社会保険未加入問題の本丸である医療保険に焦点を当てています。とはいっても、健康保険と厚生年金保険は一体加入が原則であり、手続き面や費用面は主に健康保険と厚生年金保険を合わせた名称である社会保険でご説明しております。
建設業を営んでおられる方で新たに社会保険に加入される皆様はできるだけ制度をよく理解され、納得された形で加入されることを希望します。
それでは、じっくりとお読み下さい。
社会保険労務士 宮本誠司
宮本事務所では契約を締結していただいたお客様を対象に社会保険(健康保険・厚生年金保険)加入手続きサポートをいたします。手続きにおける流れは下記の通りですが、宮本事務所では申請手続きをすべて電子申請で行うため、ご自分で申請手続きされる場合よりも大幅にご負担が軽減されます。
以下、2.のお客様にご用意いただきたい必要書類を手続き毎にご案内いたします。
事業所においてはじめて健康保険、厚生年金保険に加入するとき必要な手続きです。名称の通り、健康保険と厚生年金保険が一緒になっています。
宮本事務所による電子申請にあたっては、事業の種類、事業所所在地、事業所名称、事業主氏名、事業所電話番号などのほか、給与形態(月給か日給かなど)、諸手当、給与計算締切日、給与支払日、従業員数、社保加入従業員数、社保非加入の従業員数・種別・勤務形態、所定労働時間(月間勤務日数、1週間・1日当たり労働時間)などの情報が必要です。
必要書類
役員や従業員が個人ごとに社会保険に加入するための手続です。
宮本事務所による電子申請にあたっては、被保険者の住所、氏名、生年月日、厚生年金保険等の取得区分、基礎年金番号、資格取得年月日、報酬月額、被扶養者の有無などの情報が必要なので、宮本事務所では労働条件通知書兼雇用契約書と労働者名簿の送付をお願いしています。この中で意外と手間取るのが基礎年金番号です。被保険者の方には年金手帳や年金定期便など年金関係の書類に記載されていることをお伝えください。それでもわからない場合は、被保険者が直接、市町村役場か年金事務所まで問い合わせ下さい。
必要書類
社会保険新規加入手続きにおいて最も難航する可能性があるのが被扶養者届です。まずもって、被扶養者になれるかどうか、の判定が難解です。判定は二段階になっています。被保険者と被扶養者の親族関係が第一です。下の表の通り、被保険者の兄や姉は同一世帯にいない限り被扶養者にはなれません。びっくりポンです。第二に生計維持関係です。しっかり言葉を吟味してください。
判定1
要件 | 被扶養者の範囲 |
生計維持関係のみ必要 |
被保険者の ①直系尊属 ②配偶者(事実上の婚姻関係を含む) ③子 ④孫 ⑤弟妹(兄妹は含まない) |
生計維持関係 + 同一世帯 |
①被保険者の3親等内の親族(上記除く) ②事実上の婚姻関係にある配偶者の父母及び子 ③上記②の配偶者の死亡後におけるその父母及び子 |
判定2
同一世帯 | 非同一世帯 | |
60歳未満 |
①130万円未満 かつ ②被保険者の年収の2分の1未満 |
①130万円未満 かつ ②被保険者からの援助額より少ない |
60歳以上又は障害者 |
①180万円未満 かつ ②被保険者の年収の2分の1未満 |
①180万円未満 かつ ②被保険者からの援助額より少ない |
宮本事務所による電子申請にあたっては、被扶養者の住所、氏名、生年月日、性別、続柄、職業、収入、被扶養者になった日、配偶者の場合は基礎年金番号、等の情報が必要となりますが、宮本事務所では最低限次のような書類をお願いしております。
必要書類
被扶養者が所得税法の規定による控除対象配偶者又は扶養親族(給与収入であれば103万円以内、65歳未満の年金収入であれば108万円以内、65歳以上の年金収入であれば158万円以内)であれば、追加の添付書類は必要ありませんが、そうでなければ、ケースに応じて添付書類が必要となります。
個人事業である建設業者の皆様は医療保険について次のいずれかに加入のことと思います。
1.の市町村の国民健康保険の場合がほとんどと思われますが、その場合、会社組織にしたときや従業員数が5人を超えたとき、問題となります。結論からいいますと、3.の協会けんぽの健康保険に強制加入することとなります。
個人事業の場合で、3.の協会けんぽの健康保険に加入ということは、従業員数が5人を超えたか、従業員からの申出で任意加入したものと考えられます。いずれにしても全く問題ありません。
問題は2.の国民健康保険組合に加入されている場合です。従業員が5人未満であるときには全く問題ないのですが、従業員が5人以上となったとき、もしくは会社組織に変更したとき、問題がでてきます。
原則は、協会けんぽの健康保険に強制適用となります。
例外が、協会けんぽに対し、国民健康保険組合の被保険者について「健康保険被保険者適用除外承認申請」をして、承認を受けることで、引き続き国民健康保険組合の被保険者であり続けることができます。
手続の流れは次のとおりです。
以上となりますが、従業員を5人以上雇用するに至ったとき又は法人成りしたときから5日以内に健康保険の適用除外の届出等が必要となりますのでかなりタイトなスケジュールです。やむを得ない理由により5日以内に届出ができなかった場合は理由書の添付が必要となっています。
※画像は平成24年6月厚生労働省年金局から発表された資料を抜粋いたしました。
まず冒頭申し上げておきますが、健康保険と厚生年金保険は一体加入が原則で、健康保険のみ加入とか、どちらか一方のみの加入はできませんのでご注意下さい。また、健康保険と厚生年金保険のことを狭義の意味で社会保険と言っています。公的保険すべてを社会保険ともいいますので、ご注意ください。
社会保険は個人事業であれ法人であれ事業主(個人事業主か法人の代表者)に加入義務があります。労働者など個人に加入義務のある国民健康保険や国民年金とは異なりますのでご注意ください。
加入義務のある事業所は法人と常時5人以上の従業員を使用する個人事業所です。個人事業所である限り従業員を何人雇用しようと加入義務のない業種もありますが、建設業の場合、常時5人以上の従業員を使用する個人事業所には社会保険の加入義務があります。
社会保険に加入義務のある事業所で、加入義務のある人は上記表のとおりです。タイトルには適用労働者と書きましたが、正確にはその事業所から給与をもらう人すべてが対象となりますので、労働者ではない役員も常勤である限り、社会保険の対象となります。
問題はパート(短時間労働者)や雇用契約期間のあるアルバイトの扱いです。
パートについては正社員(通常の就労者)の所定労働時間や所定労働日数が基準となります。概ね4分の3以上である場合にパートであっても社会保険加入義務が発生します。正社員の一日の労働時間が8時間であれば6時間以上、7時間であれば5時間15分以上です。また、一月の労働日数が24日であれば18日以上、26日であれば20日以上です。所定労働時間と所定労働日数は両方満たしている場合に加入義務が発生します。
雇用契約期間については上記表の(注)の部分をご参照ください。正社員と同じ所定労働日数、所定労働時間であっても、2ヶ月の雇用契約期間の人は社会保険に加入できませんのでご注意ください。
上記表は我が国における医療制度の概要です。
現在健康保険への加入をご検討されている皆様は市町村か組合が保険者の国民健康保険にご加入のことと思います。ちなみに健康保険とは上記表でいうところの全国健康保険協会管掌健康保険のことです。略して協会けんぽといいます。窓口負担割合などご心配なこととは思いますが、基本的に健康保険と国民健康保険で窓口負担に違いはありません。幼稚園以下2割負担、小学校から69歳まで3割負担、70歳から74歳まで2割負担です。75歳以上は健康保険も国民健康保険も後期高齢者医療制度へ移行し1割負担となります。
※なお、熊本県では合志市の国民健康保険などでこどもの窓口負担が免除されています。
健康保険 | 国民健康保険(市町村) | |
加入条 件 | 法人や従業員5人以上の個人事業主に勤める常勤の役員や正社員 | 個人事業主や学生、無職の者などその他の医療保険制度に属さないもの全て |
運営者 | けんぽ協会 | 市町村 |
保険料 | 一定の保険料率に被保険者所定の給与額を掛けて算出。40~64歳までは介護保険料も付加。 | 世帯単位で加入者数、年齢、収入など1~12月分で算出した合計額を翌年6月~翌々年3月に納付。 |
扶養 | 認定範囲内の親族を扶養することができる。何人いても保険料は変わらない。 | 扶養という概念はなく世帯内の加入者数によって保険料が上下する。 |
納付義務 | 事業主が翌月末、会社負担と事業主負担を合わせて納付 | 世帯主 |
事業主負担 | 保険料の半分を負担 | なし |
窓口負担 | 同じ | |
手当金 | 傷病手当金、出産手当金 | なし |
健康保険と国民健康保険の最大の違いは健康保険には事業主負担がある点です。厚生年金保険と合わせると結構な額となり、ご懸念される点だと思います。一方労働者の方も給与の手取り額が減るので健康保険は嫌だという声もあるようです。しかしこれは、手取り給与額から国民健康保険料を納める点では変わりなく、事業主負担があることで、労働者の保険料は安くなることが多いようです。また、健康保険だけにある制度として傷病手当金と出産手当金があります。これは、業務外のケガや病気、出産を理由として働くことができなったときに給与額の3分の2が補填される制度です。扶養の数は何人であっても保険料は変わらない、など労働者にとって健康保険は大変魅力的な制度です。
ただ、社会保険料の事業主負担を気にしないわけにはいきません。早見表を作ってみました!ご参考ください。
給与額 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 | 6人 | |
150,000円 | 40歳未満 | 20,946円 | 41,892円 | 62,838円 | 83,784円 | 104,730円 | 125,676円 |
40歳以上 | 22,131円 | 44,262円 | 66,393円 | 88,524円 | 110,655円 | 132,786円 | |
160,000円 | 40歳未満 | 22,342円 | 44,684円 | 67,026円 | 89,368円 | 111,710円 | 134,052円 |
40歳以上 | 23,606円 | 47,212円 | 70,818円 | 94,424円 | 118,030円 | 141,636円 | |
170,000円 | 40歳未満 | 23,738円 | 47,476円 | 71,214円 | 94,952円 | 118,690円 | 142,428円 |
40歳以上 | 25,081円 | 50,162円 | 75,243円 | 100,324円 | 125,405円 | 150,486円 | |
180,000円 | 40歳未満 | 25,135円 | 50,270円 | 75,405円 | 100,540円 | 125,675円 | 150,810円 |
40歳以上 | 26,557円 | 53,114円 | 79,671円 | 106,228円 | 132,785円 | 159,342円 | |
190,000円 | 40歳未満 | 26,531円 | 53,062円 | 79,593円 | 106,124円 | 132,655円 | 159,186円 |
40歳以上 | 28,032円 | 56,064円 | 84,096円 | 112,128円 | 140,160円 | 168,192円 | |
200,000円 | 40歳未満 | 27,928円 | 55,856円 | 83,784円 | 111,712円 | 139,640円 | 167,568円 |
40歳以上 | 29,508円 | 59,016円 | 88,524円 | 118,032円 | 147,540円 | 177,048円 | |
220,000円 | 40歳未満 | 30,720円 | 61,440円 | 92,160円 | 122,880円 | 153,600円 | 184,320円 |
40歳以上 | 32,458円 | 64,916円 | 97,374円 | 129,832円 | 162,290円 | 194,748円 | |
240,000円 | 40歳未満 | 33,513円 | 67,026円 | 100,539円 | 134,052円 | 167,565円 | 201,078円 |
40歳以上 | 35,409円 | 70,818円 | 106,227円 | 141,636円 | 177,045円 | 212,454円 | |
260,000円 | 40歳未満 | 36,306円 | 72,612円 | 108,918円 | 145,224円 | 181,530円 | 217,836円 |
40歳以上 | 38,360円 | 76,720円 | 115,080円 | 153,440円 | 191,800円 | 230,160円 | |
280,000円 | 40歳未満 | 39,099円 | 78,198円 | 117,297円 | 156,396円 | 195,495円 | 234,594円 |
40歳以上 | 41,311円 | 82,622円 | 123,933円 | 165,244円 | 206,555円 | 247,866円 | |
300,000円 | 40歳未満 | 41,892円 | 83,784円 | 125,676円 | 167,568円 | 209,460円 | 251,352円 |
40歳以上 | 44,262円 | 88,524円 | 132,786円 | 177,048円 | 221,310円 | 265,572円 | |
320,000円 | 40歳未満 | 44,684円 | 89,368円 | 134,052円 | 178,736円 | 223,420円 | 268,104円 |
40歳以上 | 47,212円 | 94,424円 | 141,636円 | 188,848円 | 236,060円 | 283,272円 | |
340,000円 | 40歳未満 | 47,477円 | 94,954円 | 142,431円 | 189,908円 | 237,385円 | 284,862円 |
40歳以上 | 50,163円 | 100,326円 | 150,489円 | 200,652円 | 250,815円 | 300,978円 | |
360,000円 | 40歳未満 | 50,270円 | 100,540円 | 150,810円 | 201,080円 | 251,350円 | 301,620円 |
40歳以上 | 53,114円 | 106,228円 | 159,342円 | 212,456円 | 265,570円 | 318,684円 |
上記の表は熊本県における健康保険料額と厚生年金保険料額を合算した早見表です。社会保険に加入する場合のおおよその目安としてご活用下さい。給与額150,000円の40歳未満の者一人の社会保険料月額は20,946円で、二人では41,892円となります。40歳以上は介護保険料額が付加されますので料金が上がっております。
なお、保険料率の適用月は以下の通りです。
扶養制度は国民健康保険にはない健康保険独自の制度です。端的にいうと扶養者にも被保険者と類似の健康保険証が発行され、医療費の負担等、被保険者と同様のサービスが受けられます。非常に誤解が多いのですが、被扶養者がいようといまいと、何人いようと、被保険者の保険料は変わりません。以下が被扶養者の範囲となりますが、後期高齢者医療の被保険者(75歳以上)は被扶養者になりません。
被扶養者の要件と範囲
要件 | 被扶養者の範囲 |
生計維持関係のみ必要 |
被保険者の ①直系尊属 ②配偶者(事実上の婚姻関係を含む) ③子 ④孫 ⑤弟妹(兄妹は含まない) |
生計維持関係 + 同一世帯 |
①被保険者の3親等内の親族(上記除く) ②事実上の婚姻関係にある配偶者の父母及び子 ③上記②の配偶者の死亡後におけるその父母及び子 |
被扶養者の認定基準
同一世帯 | 非同一世帯 | |
60歳未満 |
①130万円未満 かつ ②被保険者の年収の2分の1未満 |
①130万円未満 かつ ②被保険者からの援助額より少ない |
60歳以上又は障害者 |
①180万円未満 かつ ②被保険者の年収の2分の1未満 |
①180万円未満 かつ ②被保険者からの援助額より少ない |