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令和7年、老齢年金支給開始年齢を考える

空前の人手不足の中、高齢者に関する雇用政策が大きく変わってきています。

 

政策の狙いは、企業における定年制度の見直しです。ほとんどの企業で採用されている定年60歳と継続雇用制度の見直しが求められています。

 

ただ、働き方や生き方が多様化し、労働者の抱える事情は人それぞれであって、すべてに応える制度設計は決して容易ではありません。

 

この難問を解く手がかりとしてまずは年金の支給開始年齢について考えます。

 

下の表は老齢年金の支給開始年齢早見表です。

 

まず表の見方ですが、左端の年齢は、次の生年月日に該当する労働者の令和7年1月時点での年齢です。あくまでも目安です。定額部分とは老齢基礎年金、報酬比例部分は老齢厚生年金です。それぞれの支給開始年齢が男女別に書かれています。

 

年齢別に支給開始年齢が異なるのは、支給開始年齢が60歳から65歳へ変更された際に経過措置が取られたためです。男性は令和7年が経過措置最後の年です。令和8年からは老齢基礎年金も老齢厚生年金も一律65歳からの支給となります。女性はしばらく経過措置が続き、現在58歳以降(昭和41年4月2日生以降)の方から一律65歳からの支給となります。

 

よって、定年を60歳とし、以降1年ごとの有期契約とする継続雇用制度は、老齢年金支給開始に合わせて契約更新を労使で決めていくスタイルなので、すくなくとも男性従業員については意味がなくなっていくと考えられます。

 

老齢年金支給開始年齢早見表

労働者  厚生年金
定額部分  報酬比例部分
年齢 生年月日 男子 女子 男子 女子
70歳 昭和29.4.2~30.4.1 65歳 65歳 61歳 60歳
69歳 昭和30.4.2~31.4.1 65歳 65歳 62歳 60歳
68歳 昭和31.4.2~32.44.1 65歳 65歳 62歳 60歳
67歳 昭和32.4.2~33.4.1 65歳 65歳 63歳 60歳
66歳 昭和33.4.2~34.4.1 65歳 65歳 63歳 61歳
65歳 昭和34.4.2~35.4.1 65歳 65歳 64歳 61歳
64歳 昭和35.4.2~36.4.1 65歳 65歳 64歳 62歳
63歳 昭和36.4.2~37.4.1 65歳 65歳 65歳 62歳
62歳 昭和37.4.2~38.4.1 65歳 65歳 65歳 63歳
61歳 昭和38.4.2~39.4.1 65歳 65歳 65歳 63歳
60歳 昭和39.4.2~40.4.1 65歳 65歳 65歳 64歳
59歳 昭和40.4.2~41.4.1 65歳 65歳 65歳 64歳
58歳 昭和41.4.2~42.4.1 65歳 65歳 65歳 65歳